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お気楽主婦はるひがつれづれに書く映画レヴューや書評です。
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「警官というよりも、正義の味方ってところだな。」


「機動警察パトレイバー劇場版」/1989年劇場公開/製作:バンダイ・東北新社 配給:松竹/【amazon】

 この映画のコンセプトは、
・娯楽に徹する!
・野明と遊馬が大活躍する!
・レイバーの敵はレイバーである!



 「イノセンス」の感想を書こうと思ったが、「機動警察パトレイバー劇場版」との類似性に気づいてしまい、もう何回観てるのかわからないほど観てるというのに、パトムービー1と2を観てしまった。仕方がないので、いまさらながらパトムービー1のことを書いてみたい。

 まず「パトレイバーとは何か」であるが……
 
ハイパーテクノロジーの急速な発展とともに、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械、レイバー。しかし、それはレイバー犯罪と呼ばれる新しい社会的驚異をも生み出すことになった。警視庁は本庁警備部内に特殊車両2課を設立して、これに対抗した。通称「特車2課パトロールレイバー中隊」……パトレイバーの誕生である。

 つまるところロボットアニメにおけるロボットを動かすための屁理屈なわけだが、パトレイバーの場合は、ロボットの躯体に「警視庁」のロゴと桜の大門をつけたかっただけちゃうの、という実にミーハー的な発想から生まれているようだ。桜田門の警察車両が、街中で37ミリリボルバーカノンをぶっ放すという絵面がまずありきではじまっているうえに、制作主体の「ヘッドギア」なるユニットを構成するのは、押井守ゆうきまさみ伊藤和典高田明美出渕裕という面々であるからして、気合いの入ったお客さん(要はヲタク)の琴線に触れる作品でないはずがないのである。そして、「パトレイバー」は一頃流行った「メディアミックス」の先駆けとも云えるプロモーションを行っているのも大きな特徴だ。漫画(少年サンデーにてゆうみまさみ作画)、OAV、TVシリーズと様々な展開をみせ、劇場版公開時には、前売り券に笠原弘子が歌うテーマソングCDとおまけマンガがついた「チケマガ」なるものを売り出していたほどである。ちなみにテーマソング「約束の土地」は、劇中に使用されることはなく、まるで「風の谷のナウシカ」の安田成美のそれのようにイメージソングとしてエンドロールに名を残すのみだったことを蛇足として付け加えておく。
 とまあ、設定自体の落としどころがヲタクのツボという「パトレイバー」であるが、出るキャラ出るキャラ濃ゆい、声をあてている声優の皆さんも濃ゆいということも魅力のひとつだ。
 ソフトウエアに無知無関心なロボットフェチの少女@野明、能書きが多いわりにひとりじゃ何もできない若造@遊馬、トリガーハッピーな粗暴な正義漢@太田、コンピュータは得意でも度胸のかけらもないサラリーマン@進士、巨体ゆえにレイバーに登場できない心やさしき悲劇の巨人@山崎、足りない女っ気を補うために急遽採用されたアブナイ帰国子女@香貫花、昼行灯を偽装したキレモノで水虫持ちの隊長@後藤、気が強いあまり島流しにされたエリート女隊長@南雲、べらんめえ江戸っ子職人気質な整備の神様@榊、しゃべらんかったら死ぬのかおまえは@シバシゲオ……と主要キャストだけでもうお腹いっぱいである。そんなオチコボレですっとこどっこいな彼らが大活躍しながらも、練りに練った脚本、張り巡らされた伏線を丁寧に拾いながら緊迫のクライマックスへなだれ込んでいくという、娯楽と知性のバランスがとれている秀作、それがパトムービー1なのだ。

 映画公開当時の1989年と云えば、バブル狂乱の頃である。地価高騰にともなって地上げが横行し、昔ながらの町並みが取り壊されて廃墟と化す一方で超高層のインテリジェントビルが林立する……劇中で描かれる1999年のメガロポリス東京も「バビロンプロジェクト」と銘打った首都圏湾岸埋立地の開発で躍起になっているが、開発に取り残されたエリアはついさっきまで見ていた風景が、目を離した隙にきれいさっぱりなくなり朽ち果てていくという、諸行無常的厭世観を漂わせる一面を包合している。
 そんな中、演習中だった陸自の試作レイバーが無人の状態で暴走したことをかわきりに、首都圏各地で作業中のレイバーの暴走が多発する。不審に思った遊馬は、暴走したレイバーに搭載されている新OS「HOS(ハイパー・オペレーティング・システム)」が怪しいと睨んで調査を進めるうち、「HOS」を開発したプログラマ帆場瑛一のおそるべき企みに気づく。
 何が入っているのかわからない「パンドラの箱」めいたOSの中身を解明していく謎解きの巧妙さとおそろしさ、それが軽妙なキャラクタたちのやりとりの中で浮き彫りになるコントラストが見事で、ときおりに挟まれる聖書の詩篇が、くどすぎず効果的に使われている。何より、犯人である帆場瑛一の人物像の詳細は、最後まで語られることはなく、帆場が唯一意図的に残した住居リスト(2年間で26回転居している)を元に、捜査課の松井刑事が転居先を辿っていくシーンは、犯人の得たいのしれなさを増幅させ、物語に深みを与えている。あえて、犯人の顔を出さずに物語を進め、巧妙な犯罪を立証していく様は、宮部みゆきの「火車」【amazon】【bk1】【なま楽】を彷彿させるほど、ミステリとして見てもよくつくられた作品であると云える。とりもなおさず、ロケハンを綿密に行って物語を構築した監督押井守の力量と、伊藤和典の脚本がよく練られたものであるからこその出来である(のちに伊藤は、平成ガメラシリーズの脚本で名を馳せる)。
 見どころは、冒頭に流れる陸自の暴走試作レイバーを空挺レイバー部隊が制圧するシーンと、クライマックスの「バビロンプロジェクト」の拠点、工事作業用レイバーの洋上プロットフォーム「方舟」での戦闘シーンだ。「方舟」での遊馬と香貫花の会話「戦闘は避けろっつたろ!」「避けたわよ、可能な限り」は名台詞なのだが、「イノセンス」を観ればきっと「ああ、なるほど」と苦笑しながら頷けるというおまけがもれなくついてくる。そういえば、警察という組織(システム)を逆手にとり、軽妙で魅力的なキャラクタと人情あふれるストーリー……これを聞いてすぐ連想するのは「踊る大捜査線」だが、TVシリーズの演出及び劇場版の監督である本広克行は、押井守の大ファンであり、このパトレイバーシリーズに「踊る〜」をつくるうえで大きくインスパイアされたと本人も認めている。その他、いろいろな観点から、この作品を見直してみても、15年前の作品とは思えないほど何ら遜色はない。

 兎にも角にも、ロボットアニメの既成概念を大きく覆したパトレイバー(篠原九八式改警邏用人型汎用機械)が、大活躍する様を、一度ご覧になってはいかがだろうか。ちゅーか、ごっつお薦め。
| つれづれ映画鑑み。 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(3) |
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『ミニパト』(2002)
きちんとした作品 (つまり、この場合は 「機動警察パトレイバー」諸シリーズ) を生み出すためには なぜそう作るのか、作りたいのかという
| きんぴらごぼう | 2004/06/22 8:30 PM |
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これは観出したら最後まで観てしまうほどおもしろいです。「ガンダムSEED」の福田監督節が炸裂してます。
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