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お気楽主婦はるひがつれづれに書く映画レヴューや書評です。
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「本当にあった怖い話」@私的怪奇譚


「新耳袋」【amazon】【なま楽】


 詳しくはよくわからないが、インターネットラジオってのをやっているサイト管理人がちょくちょくいるらしい。
 あまり天候のすぐれない15日土曜日の夕方、ふと思い立って「ねとらじ」へ行ってみた。現在進行形でだらだら話をつづけているサイトが結構あって、同じくだらだらと週末をすごしていた私にはぴったりかもしれんと思い、ひとつ聴いてみることに。UPされている放送タイトルを眺めていたら、ダントツにリスナ数が多いサイトがあった。「夕刊どらぷう」さんという絵日記サイトさんが、100万ヒットを記念してのイベントとしてラジオを流しているようだ。「メガヒットか、すごいなあ……」と感心しながらアクセスしてみると、サイト管理人であるどらさんと、「E?DIARY」のひろこさんという方が、だらだらトークを展開していた。よくよく聴いてみるとだらだらながらもネタの膨らませ方や話の引き出し方が巧い。とくに関西弁を駆使し、時折毒を吐きながらネタをばっさばっさと捌いていたひろこさんの手並みにはちょっと感じ入った。
 「ひろこ」という名前の女性をふたり程知っているが、頭の回転が良くて毒を吐きつつ仕事をばりばりこなすいい女だったりするので、「ひろこ」という名前だけで私的にはイケてるのだ。そうそう、ヒロコ・グレースもいいよね。ヒロコ、もぎたてフルーティ〜♪の頃から好きだよヒロコ。雑種の犬を飼っているところがまたステキだよヒロコー。
 で、このひろこさん、不思議体験がいくつかあるらしい。なんでも幼い頃に「電飾みたいにちかちかと光っていた小さなピエロ」「烏帽子姿の小さな男」を見たそうだ。幽霊の類いは見ないけれど、こういう「明らかに人間ではない小さきもの」を幼い頃よく見たと。これを聴いたときに思い出した。そうだよ。私も見たことがある。

 砂かけ婆を。

 あれは小学校へあがる前だったと思う。ひとりっ子で両親共働きだった私は鍵っ子としてひとりで家にいることが多く、その日も幼稚園から帰宅した私はひとりでおやつを食べながら見るとはなしに、台所から居間の方を眺めていた。すると、居間に置かれた洋服箪笥と桐箪笥の間から、なにやら白いものが出たり入ったりしているのが見えた。それは、漫画のふきだし(台詞が入るところ)のような形をしていて……そう、漫画的表現で熟睡している人間が膨らます鼻風船にも似ていた。それがまるで人の呼吸と等しいストロークで箪笥の隙間から出たり入ったりを繰り返していたのだ。
 よくよく見てみると、そのふきだしのような鼻風船のような奇っ怪なモノの中に何かが入っている。「なんやろう……」と好奇心旺盛なガキの私は懸命に目をこらしてみたらば、体長約40センチくらいのお婆さんが、ジャストサイズできっちりと収まっていたのだった。
 
どれくらいの時間だったか定かではないが、別段恐怖心を掻き立てられることもないまま、ふきだし鼻風船に収まっていたお婆さんをしばらく眺めていて、気がつくと何事もなかったようにお婆さんは消えていた。私は、箪笥に近寄って隙間を覗き込んでみたのだが、お婆さんの痕跡は何も見つからなかったし、お婆さんを見たのはそのとき一回こっきりだった。
 そのあと、お婆さんを見たことなぞすっかり忘れていたのだが、小学生となったある日、テレビでやっていた「ゲゲゲの鬼太郎」を見ていたときに「うわぁ!」と口から心臓が出そうになった。「私このお婆さん知ってる!」……私が見たふきだし入りのお婆さんは、砂かけ婆にそっくりだったのである。

 それ以来、水木しげるの描く妖怪たちは先生の創作ではない、絶対に実在するんだと信じて疑わない。

 で、そんな不思議体験が山ほどあるのかといえば、これきしのことしかない。幽霊亡霊地縛霊などはいっさい見たことがないし、霊感もからっきしだ。腐れ縁の友人たちと名古屋のHホテル(二度と泊まることはないだろう高級ホテル)や東京のTホテル(今は廃業して別のビルが建っている)に泊まったときは、怪現象が頻発してびびりまくったが、おそらくホテルのような非日常的な空間に、私と友人たちが集ってしょーもない話をしていると、なぜだか霊界通信のポートが開いてしまうのではないかと勝手に思っている。
 TVでよく俳優さんたちが自分の霊体験や不思議体験を語っているのを見て思うのだが、優れた役者であればあるほど、「役柄」という架空の人格にのめり込み、「自分」という日常(ケ)と「役柄」という非日常(ハレ)が入れ替わり立ち替わりしているうちに、「自分」でも「役柄」でもない人格的エアポケットが生じてしまい、この世ではない「私の知らない世界」へと通じてしまうのではないか、と。
 いずれにせよ、凡人である私には与り知らぬことではある。


 14年前に扶桑社から出た「新・耳・袋」を友人から借りて読んだときは、本当に驚いた。今まで自分がふれてきた怪談の類とはまったく一線を画す内容だったからだ。恨みつらみ祟りといったきわめて日本的でウェットな怖い話などではなく、ある日なんの前触れもなく現れる不条理、何の説明もフォローもなく淡々と事象だけが語られたあげくオチがまったくない。受け手の側の都合などいっさいおかまいなしだ。
 考えてみれば、恨まれているかもしれないと自覚のある相手から恨まれても、それは道理なので怖くもなんともない。怖いのは不条理。こちらの予想をはるかに超えて、いや予想だにしなかったことを想像を絶する形でこちらにぶつけてこられたときにこそ恐怖を感じる、少なくとも私はそうだ。

 もう10年も前のことなので、いい加減時効だろうと決心して書くが、当時つきあいのあった友人とつまらぬことから大喧嘩になり、「もうあんたとはやっとれんわ!」と絶交を云いわたした。なにぶん私も今よりは若かったので、人としてダメな部分がたくさんあったが、友人の私への過剰な依存と過剰な自尊心や自意識から来るネガティブな思考や発想にこれ以上耐えられなかったからだ。
 で、絶交をつきつけた翌日からA4サイズにして2、3枚、私に対する罵詈雑言や恨みつらみが病的なほど細かい字でびっしり書かれたFAXが毎日届いたのだ。夜半に会社から帰宅すると、FAXの受信口から舞妓のだらりの帯のようなFAXがびろーんと垂れ下がっている(古い機種なので感熱紙使用かつカッターが装備されていないため、枚数が多いとだらだらつながったまま長く垂れ下がるのだ)。内容は推して知るべし。脳天気がウリの私でもこのFAXだらりの帯攻撃には、ノイローゼに陥るかと戦々恐々だった。いや、精神的には相当キテいたと思う。
 そんな状態なのでしばらくFAXを不通にしたのだが、父の仕事の関係でFAXを受信できる状態にせねばならなくなり、やむなくFAXにモジュラージャックをつないだとたん、FAXがピー、ヒョロヒョロヒョロ〜と受信を開始した。「まさかな……」とおそるおそる受信した文面に目を通すと、

FAXぐらい送らせろ!!

 と楳図かずおもビックリなほどの汚い字で殴り書いてあったとさ。おまえずっとFAXの前にずっとおったんかい!! 送りつづけとったんかい!……いや、笑いごとちゃうから。今は笑いごとやねんけど、当時はほんまに怖かってんから。「私は人の心を読む能力があるので、浅はかなあなたの考えなどお見通しです」みたいなことが満載の電波文だよ。牧野修の小説やないねんから、そんなの毎日送られてきてごらんよ。急性胃炎にもなるってなもんよ。
 で、怖いのはこのあとさね。「FAXにはいっさい返信するな」という友人の助言もあって、送りつけられた怨念に対してリアクションをしなかったことがアダとなった。
 後日、このFAX魔と会うはめとなった。正確に云うと、やつが私の姿を見つけて近寄ってきたのだが、絶交前となんら変わらぬ態度でにこやかに話しかけてきたことに絶句した。やつは私がFAXの内容を理解し、私が悪かったと反省していると判断したのだ。返事、反論がないのは認めたということ。お得意の読心術を駆使して私の心を読み、反省しているのなら許してあ・げ・るとばかりに話しかけてきたのだ。そうとしか思えない。
 これには心底恐怖を感じた。胃の腑が、五臓六腑が凍えた、っていう感覚が一番近い。

 それ以来、恨みつらみで害をなす亡霊よりも、こちらの常識の斜め上をいく電波系女の不条理な行動の方がよっぱど怖い、と信じて疑わない。


 あの世とこの世の不条理を淡々と語る「新・耳・袋」が「新耳袋」と改訂されて、シリーズを重ねること早8冊目。キワモノジャンルだった「本当にあった怖い話」をエンターテインメント化した功績は大きい。なにより、「新耳袋」は人の怪奇譚と同じくらいの質量でもって「狐や狸に化かされた」話や「人ではない小さきモノ」を取材していることが魅力的だと思う。
 そして、「怪談」として最もすぐれているのは杉浦日向子の「百物語」【amazon】【なま楽】だと太鼓判を押す。このカシオミニを賭けてもいい。>漆原教授@動物のお医者さん【amazon】【なま楽】かおまえ。

 杉浦日向子が描く怪奇譚は創作ではない、彼女は江戸の町村で起こったことを時空を超えて「視ている」のだ、と信じて疑わない。
| つれづれ本読み。 | 00:49 | comments(0) | trackbacks(2) |
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これは観出したら最後まで観てしまうほどおもしろいです。「ガンダムSEED」の福田監督節が炸裂してます。
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