祝、JUGEM復活、ということで、ひさしぶりの更新。
「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の14話は、サイトーがポーカーをしながら、少佐とのファーストコンタクトかつタイマンスナイピングについて語る話だが、その昔話の中で、サイトーが狙撃のタイミングを計るのに使ったのは、
ロレックスのクロノグラフ、デイトナだった。ロレックスに少々詳しい世帯主に云わせると、サイトーのデイトナは2004年の現行モデルで、プレミアがついたアンティークではないとのこと。演出だか原画マンだか誰だかわからないが、自前のデイトナを見ながら作画したのかな。
デイトナの相場はどのくらいなのかと思い、ちょいと検索してみれば、現行モデルで130万円台。世帯主が指を銜えてほしがっている1960〜1970年代初頭のアンティークが200万円台、超プレミアと云われる
ポール・ニューマンモデルにいたっては、500万円以上の値がついて取引されている。で、このポール・ニューマンモデル、多くのオークションサイトで出品されているのを見かけるが、いかにも「パチモノ」な値で取引されているものは措くとして、100万そこそこの中途半端な値で出品されているものは、まず「ニセモノ」と疑ってまちがいないようだ。それほど本物は希少らしい。それを聞いたとき、
「それって『開運! なんでも鑑定団』で野々村仁清の本物が出てきたためしがないのといっしょかいな」
と妙な納得をしてしまった。得てしてアンティークの世界というのは、奇々怪々だ。
野々村仁清で思い出した。
7/30に浅田次郎原作「天切り松闇がたり」のドラマがオンエアされる。中村勘九郎が原作を読んで泣いて泣いて惚れ込んで、今回のドラマ化にいたったとのことらしい。勘九郎の闇がたりが聞けるとなれば、テレビの前で襟を正し、正座して観ねばならない。また、ドラマのために浅田次郎が話を1本書き下ろしたり、キャストがごっつ豪華だったり、勘九郎のみならず制作スタッフの意気込みをひしと感じるから、よけいに観る方も気合いが入る。
で、そのドラマで描かれる話は3本。そのうちの1本は、勘九郎演じる、伝説の大泥棒天切り松の子ども時分、天切りの極意を伝術してくれた兄貴分の栄治@椎名桔平の話だ。複雑な生い立ちゆえに「黄不動の栄治」の渾名で呼ばれるまでの夜盗となった栄治が、その出生のいざこざで己の意地を通さんがために、加賀百万石の前田邸から盗んだのが、野々村仁清の雉子香炉だった。――これは原作の1巻に出てくる
「百万石の甍」を、そのまま取材した話のようだ。私はシリーズ中、この話が一番好きで、一番泣いた。何度も読んでいるのに、読むたびに泣いてしまう。どれどれ、そんないい話なのかといざ読んでみれば、こりゃ濃密すぎるし息がつまる、と敬遠してしまう人がいるかもしれないが、この話で描かれる「親子の絆」は、じんわりと心の奥に染みいってくる。そして、これだけはゆずれないという意地があり、その意地を貫くためには、どれほどの犠牲と強い意志と、他人への慈愛が必要なのか……とつくづく考えさせられる。
ドラマを観て、そのせつなさと恰好よさの虜になってしまったら、悪いこたぁ云わねえ。
「天切り松闇がたり」【amazon】を買って読んでみなせえ。
翻って。
ロレックスの話だが、今までロレックスと聞けば「きんきらきんの金無垢でダイアモンドがきらきらした、センスのない成金趣味のオッサンがとりあえずはめてみている高価な時計」というイメージしかなかったのだが、デイトナやサブマリーナなどといったスポーツタイプのシンプルなデザインを見て、「あ、これなら抵抗ないかも」と偏見が払拭された。私は女にしては、すごく手が大きくごついので、レディスの時計をするとなんだか収まりが悪いというか、時計が貧弱に見えてしまう。あるとき、世帯主が持っている黒いサブマリーナをつけさせてもらったら、ぜんぜん違和感がない。ほしいなあと思ったが、おいそれと買える代物ではないので、世帯主がはめているのを、指を銜えて眺めているだけだ。
自動巻きの時計のリューズをゆるめて、時刻と日付をあわせ、少し戻してネジを巻く。その感触はなんとも云えず心地よい。それが、名工たちの手による精巧なムーブメントならなおさら、その心地よさは愚鈍な小市民である私にはもったいないんだろうなあ。
それに、そんな高価な時計をぽやぽやつけて歩いてたら、おこん姐さんに「ゲンノマエ」で掏摸られちまう。まあ、山縣元帥の金マンみたいに、怖気がくるほど価値のあるもんじゃないけどね。